血管腫・血管先天異常とは
血管腫・血管先天異常とは見た目が赤色や紫色であることで、ひとくくりに「血管腫」と診断されてしまうことが多くあります。しかし、実際には、血管腫以外に血管先天異常も考えられ、その中にもいろいろな種類があり治療方針が大きく異なります。そのため、まず正確に診断することが重要になります。
診断には問診が重要で今までの経過をお尋ねしたうえで、超音波画像装置や MRI などの検査を追加して正確な診断を行います。血管先天異常の多くは徐々に拡大し、退縮することはないのですが、癌になったりすることもありません。それらは良性疾患であるため治療するべきかどうかの判断が非常に難しい病気です。例えば、動静脈先天異常では命にかかわる出血を起こすことがありますが、静脈先天異常では、そのような出血はおこりにくいため、整容的に目立つ場合や仏痛の悪化などが治療開始の目安になります。
静脈 先天異常の治療には、硬化療法(薬を入れて固める治療)(図1)、レーザー照射(図2)、切除手術などがあり患者個々に選択いたします。血管先天異常の治療方針は患者ごとに異なりますので、よくご相談したうえでご本人にとって最良の方法を検討しながら治療にあたります。また下記ウェブページより血管腫血管先天異常のガイドラインを無料でダウンロードできます
https://www.marianna-u.ac.jp/va/guidline.html

写真 1
顔面の静脈先天異常の症例です。
病変内に針をさし、硬化剤 ( 無水エタノール ) を注入しています。放射線透視下で危険部位に硬化剤が流れないように注意し治療を行います。
複数回の治療が必要になりますが、傷は目立ちません。


写真 2
胸部の静脈先天異常の症例です。
エコーを用いて病変内にファイバーを挿入し内部を焼灼します。
複数回の治療が必要ですが、傷は目立ちません。