顔面神経麻痺とは

「顔色をうかがう」という慣用句があるように、顔の皮膚・筋肉が作り出す表情は、心の状態を細かく描出し、他人から見た印象を大きく左右します。

顔の表情は、脳から「顔面神経」という神経を伝って、表情筋という顔を動かす筋肉に命令が送られることで作られています。
この神経が何らかの原因で障害された状態を「顔面神経麻痺」と呼びます。

顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺は様々な原因で生じます。ウイルスが原因で生じる疾患から、顔面や頭部の手術の後に生じるものや、外傷の後に生じるものまで様々です。

顔面神経麻痺の症状

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺の程度は、個人差があり、完全に麻痺している方もいれば、部分的な麻痺に留まる方もいらっしゃいます。

顔面神経は、口を開け閉めする筋肉、目を閉じる筋肉、眉を動かす筋肉などを支配しているため、麻痺することで、食事がこぼれ落ちたり、目が閉じられなくて乾いたり、まぶたがさがって眼が見えにくくなるなどの症状が出ることがあります。

治療

外科的手術には、見た目の改善をはかる静的再建と、動きのある表情を再建する動的再建があります。
麻痺のある部位や程度によって様々な手術法があり、症状に合わせて最適な術式を選択します。

静的再建

緩んでしまった皮膚を切除することで、垂れた眉毛・上まぶた・頬・口角などを引き上げたり、筋膜や糸で吊り上げたりします。これらの治療には、積極的に顔面を動かすことで表情を回復させる手術ではないので静的手術と呼ばれます。つまり、静的再建手術は安静時の顔の歪みを改善させる手術です。

動的再建

一方、動的再建は表情の動きの回復を目指した治療です。神経を移植するなどして顔面神経自体を回復させて表情筋の動きも回復する場合もあれば、神経と筋肉を移植しなければいけない場合もあります。

顔面部にある顔面神経以外の神経により支配される咀嚼筋を、眼や口唇に移行したり、新たに体の別の部位から一部の筋肉を神経と血管と一緒に採取して、顔面に移植する手法があります。