教授挨拶

朝村 真一

 和歌山には古くから藩校としての医学校があり、第10代紀州藩藩主徳川治宝公は医学を藩学の中枢に置き、藩立の医学館を創設しました。世界で最初に全身麻酔下に外科手術を行った和歌山を代表する医師華岡青州は和歌山県立医科大学の前身となる医学館で講義を行いました。この伝統ある和歌山県立医科大学のなかで、我が形成外科は2015年に設立され、今年で10年目を迎えることになりました。

 形成外科は”キズを綺麗にしたりする、美容の治療”という漠然としたイメージをもつ方が多いと思います。確かに整容(みため)を回復させる唯一の外科ですが、実際には舌や乳がんなどに対する再建、顔面骨の骨折、口唇裂や多指症やなどの先天異常、切断指などの手の外傷、褥瘡をはじめとした難治性潰瘍など多岐にわたり、頭の先から指先まで治療を行っております。

 その中でも、頭蓋顔面外科領域である目の周りの手術(眼瞼下垂症など、まぶた手術)、顎変形症(受け口)、スーパーマイクロサージャリーを用いたリンパ浮腫(手足のむくみ)や手の外傷の手術症例は多く、得意としております。

 昨秋から、赤ちゃんの頭の形を良くする診療を開設しました。人生を送るうえで本人だけでなく、まわりのご家族も幸せに過ごせるよう、最新の治療を提供してまいりたいと考えております。

2024年4月

朝村 真一