熱傷(やけど)

熱傷(やけど)とは、熱による皮膚・粘膜の障害のことであり、誰でもが一度は経験したことのある外傷のひとつです。

また、高温のものだけではなく、ホットカーペットや湯たんぽに長時間あたっていたことによる低温熱傷もあり、その場合は軽傷に思えて(見えても)深くまで熱傷が到達し、長期に治療がかかることがあります。

適切な処置を行わないと、感染を契機に重症化する可能性がありますので、受診されることをお勧めします。

熱傷の深さについて

熱傷は深さによりI度、II度、III度に分類され、それぞれ症状が異なります。その深さは皮膚組織(表皮・真皮・皮下組織)のどの部位まで損傷されているかで決定されます。皮膚の薄い子供や老人では重症になりやすく、また体の部位によっても皮膚の厚さが異なるため重症度に違いを生じます。

熱傷の深さ
出典:日本創傷外科学会HPより

Ⅰ度(ED)

表皮内の熱傷。皮膚の赤み、むくみが生じます。痛みは強いものの、通常、数日で治癒し、傷跡も残りません。

浅達性Ⅱ度(SDB)

真皮浅層の熱傷。皮膚の赤み、むくみに加えて水疱(水ぶくれ)が生じます。鋭い痛みを伴い、通常、1〜2週間で跡を残さないことが多いです(色素沈着を生じることがあります)。

深達性Ⅱ度(DDB)

真皮深層の熱傷。赤み、むくみ、水疱を生じます。皮膚付属器(体毛、汗腺など)や神経終末も障害されるため、痛みはSDBより強くなります。通常、3〜4週間で治癒しますが、瘢痕形成することが多いです。

Ⅲ度(DB)

皮下組織まで及ぶ熱傷。水疱は形成せず、血管傷害によって皮膚は白色(または黒色)になります。また、知覚神経傷害により痛みはほとんどありません。通常、治癒までに1ヶ月以上かかり、肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)を起こしやすくなります。
多くは外科的治療が必要になります。手術には植皮術・皮弁術などを行う事が多いです。