臍ヘルニア(でべそ)とは
生後間もなくへその緒が取れた後に、へそがとびだしてくる状態を臍(さい)ヘルニアと呼びます。
生まれて間もない時期にはまだ臍の真下の筋肉が完全に閉じていないために、泣いたりいきんだりしてお腹に圧力が加わった際に筋肉のすきまから腸が飛び出し、「でべそ」の状態となります。
日本人における小児の臍ヘルニア発生頻度は約4%とされています。1歳までに約8割、2歳までに約9割が自然閉鎖するといわれています。
臍ヘルニアのタイプ
臍ヘルニアには主に2つのタイプがあります。
臍ヘルニア
臍の下に小さな穴(ヘルニア門と呼びます)があって腸菅や腹水などが押し出してきている「臍ヘルニア」というタイプです。
臍突出症
ヘルニア門はないが、臍の下に瘢痕組織が塊になっていたり、ヘルニアが閉じた後に皮膚のたるみだけが残ってしまったりする「臍突出症」というタイプです。
治療法
1歳前後までは圧迫療法を行います。 2歳以降もヘルニアの残存する場合、また、ヘルニアが閉鎖しても臍の変形が高度な場合は手術を行います。
臍ヘルニアの手術は臍部の突出した皮膚と瘢痕を切除(切り取り)して臍ヘルニアを修復します。
瘢痕により生じていた拘縮(つっぱり等)を解除した後に臍窩(おへそのくぼみ)を形成します。
代表的な手術法の一つとして、V-Y皮弁法があります。V字の切開をY字に縫合することによる皮膚の延長効果を利用して、皮膚のポケットを作ります。臍の皺に似せた補助切開を数本加えます。(下図)
臍ヘルニアの術後
臍ヘルニアの術後は、腹筋運動などの腹圧が強くかかる運動を最低1ヶ月は避ける必要があります。もともとの臍の大きさやかたち、手術方法によっては、術後しばらく、臍のくぼみへ綿球をあてたり、臍全体をガーゼ保護したりなどのアフターケアが必要な場合があります。